日本産ランプカミキリモドキ属 Eobia(鞘翅目:カミキリモドキ科)における分類学的再検討

溝田浩二(北大・農・昆虫体系)

 ランプカミキリモドキ属 Eobia の体液中にはカンタリジン(Cantharidin)と呼ばれる毒物質が含まれており、人体に皮膚炎を引き起こす衛生害虫として知られている。本属はその名の示すとおり夜間ランプに集まる習性を持つことから、人に接触する機会も多く、その被害が頻繁に報告されている。しかしながら、本属に含まれる種はいずれも色彩や形態が互いに似通っており、カミキリモドキの中でも最も分類同定が困難なグループのひとつである。そのため、衛生害虫学の分野における応用的研究が滞っているのが現状である。
 日本からは現在までに6種のランプカミキリモドキ属 Eobia が知られているが、いずれも海岸に沿って広く分布しており、特に島嶼に多産する。本属は Svihla(1985)によって3つの亜属に整理されているが、中でも Eobia 亜属に属する3種(ハイイロカミキリモドキ E. cinereipennis 、ヅグロカミキリモドキ E. chinensis、トカラカミキリモドキ E. fuscipennis)は分布が広域的で、その色彩の地理変異が大きいことが知られている。色彩の相違によってそれぞれいくつかの亜種に分けられているが、その区別は容易ではない。本講演では、日本産ランプカミキリモドキ属の色彩の地理的変異に言及した上で、種の整理を行いたい。