日本産フクロウハジラミ属 Strigiphilus の分類と"非"寄主特異性
(シラミ目:チョウカクハジラミ科)


○吉澤和徳 (北海道大学大学院農学研究科昆虫体系学教室): 溝田浩二 (宮城教育大
学附属環境教育実践研究センター)

 フクロウハジラミ属は、フクロウ目鳥類に特異的に寄生するハジラミ類の一群で,
世界から**種が記載されている.日本からは,内田清之助による一連の分類学的研
究 (Uchida, 1948, 1949: Jpn. Med. J.) により,4種のフクロウハジラミが記録さ
れている.しかし内田の研究では,本属の分類の鍵となるいくつかの形質(交尾器等
)の検討が行われておらず,また寄主との関係から同定に疑問のある種も含まれてい
る.
 演者らは,九州大学に保管されている内田清之助コレクションと,フクロウおよび
アオバズクから新たに採集されたフクロウハジラミを検討する機会を得た.分類学的
検討の結果,それらの種は以下のように同定された.

Uchida の同定:本研究での同定:寄主
S. fukuro:S. heterocerus:フクロウ (=模式寄主)
S. laticephalus:S. cursor:モリフクロウ (=模式寄主),アオバズク
S. laticephalus:S. heterogenitalis:フクロウ (模式寄主=オオコノハズク)
S. cursor:S. sp. 1:コミミズク
S. rostratus:S. sp. 2:オオコノハズク

 一般にシラミ−寄主鳥類の間には,強い寄主特異性が見られる.しかし本研究の結
果,上に示した通り,フクロウハジラミとフクロウとの間に,ときに亜科さえ越える
ような非特異的な関係が見いだされた.この原因として,フクロウ科に広く寄生する
シラミバエ Ornithoica unicolor Speiser への便乗 (phoresy) による寄主転換の可
能性が最も高いと考えられた.